ふらんす亭店主 日本ソムリエ協会認定ソムリエ 古川剛士さん
(株式会社エスアールシー 飲食事業部スーパーバイザー)
ー「ふらんす亭」にはオープンから関わっていらっしゃったそうですね。
はい。最初から、いわゆる新卒からずっと関わってきました。 僕、実は高校1年、 16 歳の時からアルバイトはずっと飲食だったんで す。大学 4 年までですから、 6 年以上ですね。長く勤めたので、店長からも信頼していただいて好き勝手にやっていたというか(笑)居心地が よくて楽しい職場でした。 「飲食」って、ポジティブな仕事なんですよね。おいしいと言って喜ん でもらって、それがお金にもなる。だから就職の時にも、新しい職種に就きたい、とは考えませんでした。自分が知っている飲食の世界だったら成果がだせて、やっていけるのではないかと。 そんなタイミングで、このお店がオープンすることになり、働きだしたんです。
ふらんす亭を経営している会社は、市場での仕分けなどを担っている運送会社です。それが飲食部門を立ち上げるということで、お店のオープンは 2006 年の8月でした。もう13 年働いていることになりますね。
ーオープン当初はどんな様子でしたか?
スタートの数年はめちゃめちゃ忙しかったです。 小田原の駅前といったら、ダイヤ街がこの辺で一番メインの通りだった と思うので、とにかく人通りが多くて。
朝は一応シフトが 10 時からなんですけど、準備が間に合わないので、 7時とか8時とかには来て、そのあと夜の 10 時までずっと店にいまし た。 現在、僕は調理全般を担当しています。フロアのスタッフは上の店 (「ライブハウス JakaJaka 」)と共通の人もいれて、トータル 15 人 くらいで営業しています。 ランチは毎日やっていて、夜は時々不定期でお休みをいただく、そんな 感じです。
ーではお休みはあまりないですね。 オフの日はどんな風にすごされているんですか?
お店始めてから、休みはほぼないんですよ。 夜の営業がない日がオフになりますが、今はひたすら「食べに」行って ます。お昼の営業を片付けて、終わったら速攻で電車に乗って東京へ。 最近はハンバーガーがブームなので、評判がいいところをあらかじめ探しておいて。子どもと二人で行ったりとか。東京はやっぱりレベルが全然違う。それだけのために行く価値がありますね。刺激があります。
ーオフも勉強なんですね!
基本的には、お店にいるのが好きなんです。現場にいると工夫することが見つかるし、物事が動く。 お客さんといるのも楽しいですよ。期待に応えられているか、と、緊張感があるじゃないですか。
休んでいられない体質みたいです(笑)。
ーところで、古川さん、ソムリエ(※)の資格をお持ちなんですね!
ソムリエは難しいと聞きます。すばらしいですね。
※アルコール飲料を提供する飲食サービスを3年以上経験し、ワインに関する知識を問う試験に合格した人に与えられる資格。
働きながらで、取得まで5年くらいかかっちゃいました。 社内の配置換えがあって、勉強する時間ができた時期にとらせてもらっ たんです。
この店をオープンした時のスタッフにホテルのソムリエだった方がいら っしゃって、店でもワインを出そうということで、うちの店ではワイン のメニューがテーブルに出ています。それとは別に、実はワインがたくさん仕入れてあるんですよ。
ふらんす亭は現在 20 店舗くらいあるフランチャイズ・チェーンなのですが、それぞれの店長に個性があって、創意工夫して店舗を展開しています。 全ふらんす亭でもワインを数種類から選んで飲めるっていう、うちのような店は珍しいと思いますよ。
僕自身は「ニュー・ワールド」って言われるカテゴリーの、オーストラリアやニュージーランドのワインが好きです。うまいんですよね。 一般に「オールド・ワールド」って呼ばれるフランスやイタリアのワイ ンと比べるとコストパフォーマンスがよくて、同じ金額でかなりのラン クのものが飲めます。
ワインを楽しんでもらうには、やっぱりおつまみもそれにあったものを お出ししたいんですが、普段のメニューとして載せるのはちょっと難しいので、ワインを飲みたい、って方はぜひご予約をお願いします。 ご予算に応じてワインもつまみも、おいしいものをお出ししますので。
ーそれは素敵です! おいしいワインが飲めるいいお店なんだということを、たくさんの方にお知らせしたいですね! さて、古川さんは今後この街がどんな風になっていくといいなと思われますか?
やっぱり、街にもっと人が増えると楽しいなと思いますよね。 いまは飲食店が多いので、もっと多目的に来られる商店街になったらい いなって思います。 目的がなくてもぶらっと遊びに来られる。そんなだといいですね。
僕自身も、毎日を楽しんでやっていきたいです。 自分がどこかでおいしいものを食べていい気持ちになったら、それをお 客さんにも連鎖させたくなる、そんな風に続けていけたらいいなと思います。 同じことをずっとやっていても進歩しないので、勉強して自由に成長し ていきたい。 そしてちょっとマニアックなことにこだわって、新しいものが見えてき たとき、面白いなあって一緒に楽しめるコミュニティがお店を通して作れたらいいな、なんて思っています。