個人商店の個性は、小田原の商店街の魅力。

    小林生花店店主 ダイヤ街商店会会長 小林鐵夫さん

     

    ー小林生花店さんのご創業は

    うちは、昭和 45 年です。 最初はお隣の長崎屋さんの店頭で営業してたんですよ。そのあと今のここに移ってきました。 実は私、花屋になる前は航空整備士だったんです。飛行機のメーターの修理をやっていたんですが、 うちの親父の知り合いに花屋がいてね。その紹介で、平塚にあった生花市場で働くようになりました。
    で、そのあと、花屋を始めたんです。
    創業当時は 27 歳でしたね。

    ー創業当時のお店はどんなでしたか?ダイヤ街も相当にぎやかだったと聞いています。

    いやあ「にぎやか」なんていう次元じゃなかったですよ。 とにかく人通りが多くて、平日だってこの前の道、自転車じゃ通れなか ったんだから。 近くの町からもたくさんの人が小田原に買い物に来てました。 昔は仲見世っていうのがあって、いろんなものを商う小さな店がずらーっと並んでいて。 楽しかったねえ。仲見世、復活させたいって声もあるんだけど、なかなか難しいですよね。

    ーいろんな世代のお客さんが買い物に訪れたんですね。

    老若男女、あらゆる人が通りがかって、買ってくれましたよ。 当時は花の安売りをやっていてね。 バケツに水入れて、そこに花入れて…なんてやってる暇ない、もうダンボールごと並べて売ってた。 どのくらい安くしてたかって言うと、よそで1本200円くらいのバラを、うちでは 10 本で300円くらい。

    だから本当によく売れましたね。

    仕入れの量もとんでもなく多かったですよ。

    あの当時仕入れに行っていた平塚の市場は、今はもうないんです。 厚木の市場と合併して「南関東花き園芸卸売市場」になった。 今、厚木は神奈川で1番目か2番目に大きな市場じゃないかな。

    ーでは今は厚木の市場にお花を仕入れに。

    そうです。今でもだいたい毎日、朝 5 時半にはでかけていきますよ。 6 時半ごろ市場について、花を仕入れて。

    店は9時からだから、戻ってきたら荷ほどきをして水揚げをして。その繰り返しですね。

    ー花屋さんというご商売の魅力ってどんなところですか?

    それは毎日変化があることかな。時期の花とかね、毎日毎日違うから。 花の流行もあって、例えば菊っていっても、今売ってるのは昔っからある種類じゃないんですよ。 年間でいうと、菊なら300種類~600種類くらい新しい品種が生まれて、 その中でほんの一部が商品化になる。 そんなペースでどんどん新しい花がでてくるんです。

    だから飽きずにやってこれたんだと思いますよ。

    あとは、作る喜びだろうね。 花束なんかでも、今は個性の強い花もいろいろ出てきて、お客さんの希望も変わってきた。自分で花を選んで、私たちじゃ考えつかないような組み合わせを要望するお客さまもいますよ。失敗して、お任せすればよかったわ、なんて人もいるけど、時にはこちらが感心するほどいい花束ができる時もあるんですよね。 お客さんの方が発想が豊かで、勉強になる時もあります。

    ーダイヤ街商店街には、小林生花店さんのような個人商店さんが、以前はもっと多かったんですよね。

    そうだねえ。個人商店はやっぱり、小田原の商店街の魅力。 個人のお店は店主の癖が出るから面白いんだよね。 今は、私も含めて、あの当時を知っている世代が年をとって、遅くまで 店を開けるっていうのは体力的に難しくなってきた。 だからそれとは違うやり方で商店街を盛り上げていこう、といろいろや っていますよ。

    例えばイベントを年に 6 回、偶数月にやっているんです。 8月はフラダンス、小さい子から大人まで一日中この前で踊っていて、 すごいですよ。
    秋に企画してるハロウィーンは、小田原の商店街が 30 いくつも集まる 商店街連合会と、大型店連絡会全部で協力する形でやります。 イベントには 20 代、30 代の、子ども孫の若い世代も運営する側に加わっていますよ。 地元に住んでいる人も、他所から来る人もいるけど、やっぱり、若い人 が一緒にやると盛り上がるよね。

    ー楽しそうですね! 小田原に住んだことがある人は、年代問わずほんとに小田原のことが大好きですよね。

    小田原は居心地がいいですからね。平和だし。 転勤で小田原に移住して来た夫婦が、旦那がまた他所に転勤になっても 奥さんは引っ越さないで小田原にそのまま残っちゃう、なんて話もよく 聞きます(笑)。 海山、温泉も近いし、魚もうまい。小田原はいいところです。

    いまダイヤ街も少しずつ新しく変わっていっていますが、それにも期待しているんです。 当たり前に思っている小田原の良さにみんなが気づいて、楽しんで住む人が増えてくれるといいなと思っています。

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